プロローグ・・・・すべてはその時、始まった。

ルル・・・ルル・・・ルル・・・
内線からの呼び出し音だ。社長室からだった。

「すぐにきてください。」社長の声は、低く重かった。
要件はわかっている。うちの部署に配属となる新入社員が来ているのだ。

初の女性社員。社長からは、「かなり仕事はできそうだ」・・・と
事前に聞いてはいたが、不安はぬぐえない。

ノックして社長室にはいる。
ソファに腰掛けていた女の子がこちらを見て笑いかける。
仕事ができそうなだけでなく、優しそうな子だ。おもわず、頬がゆるんだ。

座ろうとして、もう一人の新人に気がついた。
「他の部署配属の新人もついでに紹介してくれるんだ」
そう思った。

「今度、あなたの部署に配属になるYさんとUさんです。」

えっ・・・・女性一人については聞いていたけど、
もう一人の男については何も聞いてないぞ。

部署に移動しての説明の前、二人が部屋を出た直後に社長に聞いた。
「女性一人ぢゃなかったんですか?」
「ああ、どちらもなかなか成績良かったんでね。正規採用は、実際に仕事してみてもらってできる方にしよう。」

どちらも、将来的には正規採用となるつもりで来ているに違いない。
俺としては、二人とも正規採用になるようにできるだけの事をするしかないだろう。でも、同時昇格がムリならば、そして他の事情にして等しければ、順番としては先に話を聞いていたYさんの方が先だ。心の中でそう決めていた。

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